セピオジャパンヘッダー画像

パイプの部屋(その3)

メシャムパイプの取り扱い

汚れた手は厳禁!

メシャム、つまりセピオライトを販売していると、会社内のそこら辺に原石がごろごろしています。もちろん原石を移動させたり、持ち運ぶのが当たり前ですし、素手で直接触ったりします。一部のメシャムパイプファンの方には乱暴な取扱いのように思えるでしょうが、ある程度のことさえ守れば、直接触っても、まったく問題ありません。それでは、どのようなことを守ればいいのでしょうか。これは簡単なことで、汚いと思えるような手で触らないことだけです。もう少し詳しく述べますと、油の付いた、また、油が混入している水が付いている手で原石、つまりセピオライトに触れると、先にも書きましたが、セピオライトは、優秀な吸油性能がありますので、たちどころに汚れた油や油を含んだ水を吸い込むからです。人間の手には汗や肌を乾燥から守るために油が分泌されていますので、じゃー直接メシャムに触ったらダメだと思われる方がいらしゃると思いますが、メシャムパイプには艶出しも兼ねて、保護用としてミツバチの蝋を、外側だけに塗ってあるのです(コルクで火口とステムをふさいで、蜜蝋が溶けた鍋の中に放り込んで煮ています)。これによってセピオライトの微細な多孔が、蜜蝋のワックスで塞がれますので、メシャムパイプの外側、手で直接触れる部分は、吸着性能が落とされているわけで、外からの汚れを吸い込まないように工夫されています。ただし、蜜蝋ワックスは、油ですので、煙に含まれた親油性のにおいや汚れを吸着してしまう恐れがあります。

ところで、メシャムパイプの原石を素手で触るとどのような感じなのでしょうか。

※指先にひっつく原石
指先にひっつく原石

結果は、少しでも手が汗ばんでいましたら、手にぴたっと引っ付きます。小さな原石でしたら握らなくても落ちませんし、皮膚を引っ張る力を感じますので、今日は汗ばんでるなと直ぐに分かります。また、大きな原石にコンニャクを投げつけると、くっついて落ちませんし、舌をくっつけると唾液を吸着し、剥がすときに舌先にプチッと音がするほど引っ付いています。これらはすべてセピオライトの吸水性能のイタズラです。

メシャムは傷つきやすい

雑談ですが

鉱石の硬さを表現する方法に、「モース硬度値」があります。この値は、衝撃に対する硬さではなくて、こすり合わせたときに傷がつくかどうかを調べて、10段階に数値化したものです。例えば、ダイヤモンドの数値は「10」になります。この測定方法では、メシャムのモース硬度は「2」となります。この値は、人の爪と同じぐらいで、決して硬いとは言えませんが、加工が容易なこと、またメシャムが傷つきやすいのも納得いきます。

※専用ケースに収められたメシャム
専用ケースに収められたメシャム

参考値:物質のモース硬度

  • ダイヤモンド 10
  • 窓ガラス 5.5
  • 10円玉 3
  • メシャム 2

参考文献:< 鉱物・宝石の不思議 ~ 近山 晶 監修 ~ >

メシャムの良し悪し

喫煙ができる有名なバーに行ってきました。

そこには、壁一面にパイプが飾ってあり、マスターに聞くと、全てパイプを楽しむ、お客さんの預かりものだそうです。ゆっくりとした雰囲気で、スコッチを飲みながら、パイプをふかす、至福の一時です。やはり、ブライヤーのパイプが多くを占めていましたが、メシャムのパイプもなかなかの本数で置いてあり、見事な彫刻を施されたものも何本か見うけられました。

さて、メシャムパイプの本当の価値とは、セピオライト鉱石(粘土)を販売しているものには、セピオライトコンテンツ(含有量)と色に、価値があります。もちろん有名な作者の作品や、吸い心地のよさ、手触りなど、人によって価値観が違いますが、メシャム鉱石だけの良し悪しを言いますと、やはりセピオライトの含有量が高いものほど値段が高くなります。普通セピオライト鉱石の中にはセピオライトは60%~95%ほど含まれていて良いセピオライト鉱石は、軽いと業界の中では、言われております。同じ大きさのセピオライト鉱石を比べてみると同じ大きさでも重さはかなり違う場合があり、それはセピオライト含有量が、あきらかに違うためです。もし、パイプ選びに迷ってしまったら、手にとって見て、重さで決めてしまうのも、面白いかもしれません。吸い心地が、上品になるかもしれませんね。

※各種メシャム
メシャム各種
ハンドメイドパイプの表面

トルコのメシャムパイプでは、色の白いパイプが、より値打ちがあるそうです。 ちなみにトルコのセピオライトは、メシャムパイプの白いセピオライト以外に、色のグレーがかったものもあり(未精製蜜蝋ワックスでグレーのものもあります)が、工業的にはグレーのセピオライト鉱石のほうが、セピオライトの含有量が高く、値打ちがあるのです。白いメシャムパイプは、セピオライトコンテンツは低くても「稀少」、というところに価値がありそうです。色が悪くても軽いパイプを選ぶか、色が白くてさらに軽いパイプを、または、デザイン重視もいいでしょう。ただし、固結剤を混ぜている偽物は、きれいな白いものが多いので、注意しましょう。

これもメシャムです

こんな物もあります。

数年前に購入したセーラー万年筆社のスタンド型デスクペンです。台座とペンの上端部がメシャムです。 

※メシャム工芸品
メシャム工芸品
メシャム工芸品台座

こちらは雑貨品です。

※メシャム工芸品
メシャム工芸品容器
メシャム工芸品容器2
メシャム工芸品たまご
メシャム工芸品たまご2

※前回までのページ

パイプの部屋(その1)|パイプの部屋(その2)

これで「パイプの部屋」は最後となります。
最後までご覧いただき、本当に有り難うございました。

セピオライト関連ページ