「セピオライト」は日本では、あまりなじみのない言葉ですが、昔から人間の生活には深く関わっています。有史以前は、ミイラを覆っている布・石けんの代用などに使用されていました。現在では、煙草パイプやフィルター・石油や汚水のろ過材・塗料などの増粘剤として、最近はさらに研究が進み、アンモニアの吸着能力が卓越しているのでトイレの脱臭剤、シックハウス対策として壁紙の成分として、また、ホルムアルデヒド吸着用フィルターなどに加工され、日常生活に密着したところで使われています。
セピオライトの採掘鉱床
セピオライトは原産地によって見た目が著しく異なっているために、その地方独自の名前で呼ばれていましたが、研究が進むにつれてそれらが皆セピオライトであることが分かって来ました。湖の底に、または岩の割れ目に溜まった粘土が石になったもので、一般粘土とは異なった結晶構造で、特異な性質を持つことから、様々な分野で広く利用されています。主な産地にスペイン、トルコ、アメリカ、中国などがありますが、日本国内でも採掘された報告はあるものの、鉱床規模に難点があり、安価で大量に使う工業的な利用は難しいようです。
セピオライトの堆積層
水平に堆積する大規模鉱床としては、スペイン、トルコ、 アメリカに存在し、工業利用されています。欧州の鉱床では、アルプス造山運動(6500万年前)に伴って形成された内湾での堆積物と考えられています。
セピオライトの化学分析値(代表値)
セピオライトの主成分 : 含水マグネシウム珪酸塩を主成分とする粘土鉱物
化学組織 :Mg8Si12O30(OH2)4(OH)4 6~8H2O
化学分析値 | 含有率(%) |
---|---|
SiO2 | 52.5 |
MgO | 22.8 |
Al2O3 | 1.7% |
Fe2O3 | 0.8 |
CaO | 0.8 |
K2O | 0.4 |
Na2O | 0.3 |
H2O- ( 110℃) | 11.0% |
H2O + ( 110℃) | 10.5% |
セピオライトの採掘現場について
セピオライトの採掘は、地上からではなく、トンネルを掘りながら採掘します。向かって右側の坑口から飛び出しているのは、ベルトコンベアです。
セピオライトは軟らかい(モース硬度:2)ので、削りだすようにして採掘します。採掘重機の先がくるくる回転します。
積込、運搬とも大型重機です。ここからプラントへ搬送します。
採掘されたセピオライトは、プラントで加熱破砕されます。粒度をふるい分け調整して出荷されます。
輸入は40フィートコンテナで行います。スペインより地中海を抜け、エジプト~シガポール経由で、日本の陸上げまでにおよそ50日が必要です。