クレイパックの目的は洗浄と保湿
パックには洗浄を目的としたものと肌に潤いを与える為に水分を補給してやる保湿パックがあります。皮脂や汗、肌についた汚れを取り去り、角質表面を清潔にしたり新しい角質を出してやるのが洗浄パックであり、肌に水分や色々なモノを補給したりするのが保湿パックの役割です。洗浄と保湿、どちらのパック、又はどちらに目的を置いたパックを作りたいのかでクレーを選ばなくてはなりません。そのためには各クレーの種類と特長を知る必要がありますが、本当の所、これが一番厄介な問題です。
クレーには多くの種類があります。例えば、カオリン、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク等、そしてその中でも、産出した地名や見た目の形でそれぞれに名前が付いているクレーもあり、このクレーとこのクレーは同じものであると判断することは難しいからです。例えばカオリンはチャイナクレーと呼ばれていますし、大雑把にはフーラーズアースは、モンモリロナイトと言えるでしょう。
また特長についても、採掘した場所、どの部分を掘り出したかにもより同じクレー同士でも特長が変わってきます。更には、粉砕方法によっても特性が変わってきますので、クレーを専門に研究されている方でも難しく、一定の品質検査をしていないとひどいものを掴まされてしまうことがあるのです。こうなってくると一般の方には各クレーの種類と特徴を覚えようにもキリがありません。しっかりと販売先に種類と特長を聞く事が大切です。
クレーを選ぶ基準は?
そこで次の観点から、パック作りの目的に合ったクレーを選ばれてはいかがでしょうか。
1.吸水量
クレーがどのくらい水を吸う力があるかということです。この数値が大きいほど厚みのあるパックが作れます。よく手作りパックで、クレーに対して、水をいくら入れてくださいと書いてありますが、この量が多いものほど厚みのあるパックになるわけです。保湿効果にも影響します。
2.吸油量
人間の皮膚、角質の上には汗と皮脂が混ざり合い、時間の経過で酸化した油になります。その上に空気中の汚れが付いて更に汚れていくわけですが、この汚れを取る力が、この吸油量でおおよそ決まります。この吸油量が多いほど酸化した油を良く取りますので、洗浄力やパックに油性のものを混ぜたい時には注意しなければならない数値です。
3.伸び具合
クレーの種類によっておおよそ想像できます。粘土には膨潤現象が起きるものがあり、それがおおきく影響していると思います。販売先にお聞きになると良いでしょう。パックを伸びの良いものにするにはこのクレーを混ぜればいいのです。しかし、洗浄力や保湿効果とはあまり関係有りません。
4.PH(ペーハー)
クレーがどのくらいの酸性なのかアルカリ性なのかを知る必要があります。人のPHが5.0や5.5と言われていますので、余り極端なPHのクレーですと肌に刺激があるかもしれません。弱アルカリのものなら肌の毛穴が開き洗浄力が増しますし、弱酸性のものなら肌に優しく感じられるでしょう。但しクレーパックは界面活性剤を利用した洗浄方法ではないので、PHが高ければ洗浄力があるとは思わない事です。クレーは吸着効果で汚れを取りますから。PHの高いものも酸性の油などを入れてやると中性や酸性に変えることができます。
5.色
色はお好みで選べばいいのですが、時折着色したクレーを売られているのを見かけます。折角安全なクレーパックを作るのですからわざわざ着色したクレーを買う必要は無いと思います。
6.安全と品質管理
これにつきましては、販売している会社を信じるしかないのですが、食品添加物指定や医薬品指定を受けているものは、安全だと言えるでしょう。
よく敏感肌用やアトピー肌、乾燥肌に効能があるクレーとして販売されているものがありますが、同じ名前でも取れる場所や粉砕方法などでクレーの特長が大きく変わることが有りますので、違う会社の製品を買われた場合には、もう一度テストをされたほうが安心です。
2種のクレイを組み合わせる
セピオライトクレイとモンモリロナイトクレイを組み合わせ、クレイパックを作ってみます。
セピオライトは高い吸着能を持っているため、その特性を生かして洗浄クレイパックに利用することが出来ます。モンモリロナイトを混ぜることで伸びのあるパックになります。セピオライト粘土は、他の粘土(クレー)とは違って細長いトンネルを持っています。そのトンネルが油分を吸着し、また多量の水分を保持するので豊潤なパックとして使用することが出来ます。地中海地方では、この粘土は色素を吸着し、白色効果が有る事が知られており、短時間で汚れや油を取り除いてくれます。クレイパックは合成界面活性剤を使用した洗顔化粧品とは、まったく違った方法で汚れを落としますので、合成界面活性剤を使用した洗顔化粧品の抱える厄介な問題とは、無縁です。粘土は吸着力で肌に付いた皮脂や汚れ、汚れの色素を吸着して、肌から落としてくれますので、特に肌の弱い方にお薦めです。
粘土は生活に欠かせない
皆さんの身の回りには粘土を利用した食品や薬剤がたくさんありますのでご紹介します。粘土には、汚れたものを吸着する能力があります。例えば、オリーブオイルのバージンエキストラオイルに粘土を加えてかき回して、そのまま置いておきますと、粘土がオリ(絞りカス)を吸着し、出来た上澄み液は綺麗になっています。その能力を生かして、日本のほとんどの食料油の精製に使用されています。販売されている黄金色に輝くサラダオイルは粘土のおかげなのです。また、汚れの吸着だけでなく酸にもアルカリ性の液にも強い粘土は、胃薬や整腸剤に使用されています。胃の中の胃酸を吸着し、また中和する事で、胃をスッキリさせてくれます。胃薬の主成分は粘土なのを聞くと、皆さんビックリされます。また、マーガリン、バター、うすくちしょうゆ、日本酒などこれらの食品には、ほとんど粘土が使用されています。